ユニオン学習会を開催

 2月22日(土)午後1時より、ユニオン事務所(+Zoom)にて、ユニオン学習会を開催しました。15名規模の参加で、賑やかに行うことができました。

 今回は「労働基準法改正について」をテーマに、ユニオンもお世話になっている仲松大樹弁護士(みずほのまち法律事務所)を講師にお招きして講演していただきました。仲松弁護士は、1月に出された厚労省の有識者研究会(労働基準関係法制研究会)の報告書を読み解くかたちでお話しされました。

 最初に労働基準法改正の背景として、報告書が「社会や経済の構造変化」を挙げていることについて、特に、日本型雇用慣行の維持が難しくなり、「メンバーシップ型からジョブ型へ」という雇用形態の転換や、契約を重視する追求が進みつつあるという現状認識について触れました。そして、その現状認識にふまえて、働く人が健康に働き続けられるとともに、様々な働き方に対応した規制を行う、という視点が重要というのが報告のスタンスだとしました。

 続いて、報告書の内容紹介に移りました。まず「労働基準関係法制に共通する総論的課題」に関して、労基法の「労働者」、「事業場」単位適用、労使コミュニケーションの在り方についての記述を紹介し、労働者にとって生かせる点を挙げたり、労組や労働弁護士が反対してきたデロケーション(労基法の基準を労使合意で解除すること)の拡大を明記できなかったこと(「法定基準の調整・代替」という表現にとどめたこと)をさしあたっての成果としたりしました。他方、労使コミュニケーションについては、過半数労組がない場合が多い現状も含め、労組についての言及が弱いと問題点を指摘したりしました。

 次いで「労働時間法制の具体的課題」として、「最長労働時間規制」「労働からの解放に関する規制」「割増賃金規制」について触れていることを紹介しました。「最長労働時間規制」や「労働からの解放」に関して、管理監督者の健康確保を強調したり、連続勤務規制強化の必要を強調したり.、「つながらない権利」について踏み込んで触れていることなどを評価できるとしました。また、副業・兼業について、促進の立場から、割増賃金規制の制度改正が打ち出されていることについても触れました。

 そして最後に、個人的意見として、ジョブ型雇用時代における企業横断型ユニオンの重要性について触れ、当ユニオンへの期待も語っていただきました。そして、今後デロケーションが拡大傾向になっていくことが予想される中で、また労使コミュニケーションの主役として位置づけられようとしている中で、労働者・労働組合は、この10年単位ほどの過渡期において、これからの働き方を展望しつつ、主体的に取り組んでいく必要があるのでは、と提起もしていただき、一時間ほどの講演を終えました。

 休憩後、参加者同士の質疑応答・意見交流に移りました。内容や評価が難しいという感想が出たり、「労使自治」や、デロケーションと言われるものの実態や、ダブルワーク・副業・ギグワーク・テレワークなどの働き方の多様化の背景にある低賃金の実態や、労働時間管理がないがしろにされる危険や、メンバーシップ型雇用を一概に否定することへの疑問が出たり、企業内格差や外国人差別の問題が触れられたり、情報公開の必要性が訴えられたり、これからの世代のありように思いを馳せたり、というように、さまざまな意見・感想が出て、仲松弁護士も適宜応答しながら、現場の意見に積極的に耳を傾けていだだきました。一時間弱の意見交流でしたが、活発に発言が続いて、良かったです。

 こうして学習会は2時間ほどで終了しました。19日には日本労働弁護団の報告書についての学習会も開かれましたが、今後、労働政策審議会で公労使の審議が行われると、使用者側は報告書を自分たちの要求に沿って引いてくることが予想される中、労働者側も、報告書にどうふまえていくか、今後も検討を続けていく必要があります。40年ぶりの大改正と言われる労働基準関連法の見直しで、労働者がますます苦しくなることを防ぐために、今後も検討を続けていきましょう。体調が良くない中で、内容豊富な講演をしていただいた仲松弁護士や、この冬一番の寒さの中参加していただいた多くの皆さん、お疲れ様でした。

 

 

  

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